日本国内で解体業を営むためには、安全性や法令遵守を確保するために複数の資格や許可が必要となります。
1. 建設業許可(解体工事業)
概要: 2016年6月1日より、「解体工事業」が建設業許可の業種区分に追加されました。これにより、解体工事を請け負うには「解体工事業」の建設業許可が必要となります。
種類:
- 一般建設業許可:小規模な工事(下請け代金の総額が4,000万円未満)を行う場合。
- 特定建設業許可:大規模な工事(下請け代金の総額が4,000万円以上)を行う場合。
取得要件:
- 経営業務管理責任者の設置:5年以上の経営業務の管理経験が必要。
- 専任技術者の配置:一定の資格や実務経験を持つ技術者を専任で配置。
- 財産的基礎または金銭的信用の確保:資本金500万円以上、または自己資本500万円以上など。
- 欠格要件に該当しないこと:過去に法令違反や免許取消がないこと。
2. 解体工事施工技士
概要: 解体工事における専門的な知識と技術を証明する国家資格です。
種類:
- 1級解体工事施工技士:大規模・高度な解体工事の管理が可能。
- 2級解体工事施工技士:一般的な解体工事の管理が可能。
取得方法:
- 受験資格:学歴や実務経験に応じた要件を満たすこと。
- 試験内容:学科試験と実地試験(1級のみ)。
3. 車両系建設機械運転資格
概要: 解体作業で使用する重機(バックホウなど)を操作するための資格。
種類:
- 車両系建設機械(解体用)運転技能講習修了証:解体用機械の操作が可能。
- 特別教育:小型の機械を操作する場合に必要。
取得方法:
- 技能講習:指定の講習機関での講習受講。
- 特別教育:事業者が行う教育を受講。
4. 産業廃棄物収集運搬業・処分業許可
概要: 解体工事で発生する産業廃棄物を適切に処理するための許可。
種類:
- 収集運搬業許可:廃棄物の収集・運搬を行うため。
- 処分業許可:廃棄物の処分を行うため。
取得要件:
- 人的要件:廃棄物処理施設技術管理者などの配置。
- 施設要件:適切な車両や処理施設の保有。
- 財務要件:一定の資産要件を満たすこと。
5. 石綿作業主任者
概要: アスベスト(石綿)を含む建材の取り扱いに必要な資格。
取得方法:
- 石綿作業主任者技能講習:講習を受講し、修了試験に合格。
6. 足場の組立て等作業主任者
概要: 足場の組立てや解体作業を行う際に必要な資格。
取得方法:
- 足場の組立て等作業主任者技能講習:講習を受講し、修了証を取得。
7. 高所作業車運転資格
概要: 高所作業車を操作するための資格。
種類:
- 高所作業車運転技能講習:作業床の高さ10m以上の高所作業車を操作。
- 高所作業車運転特別教育:作業床の高さ10m未満の高所作業車を操作。
8. 玉掛け技能講習修了証
概要: クレーンなどで荷物を吊り上げる際の作業(玉掛け)に必要な資格。
取得方法:
- 玉掛け技能講習:講習を受講し、修了試験に合格。
9. 有機溶剤作業主任者
概要: 有機溶剤を使用する作業において必要な資格。
取得方法:
- 有機溶剤作業主任者技能講習:講習を受講し、修了証を取得。
10. 酸素欠乏危険作業特別教育
概要: 地下室やタンク内など酸素欠乏の恐れがある場所での作業に必要。
取得方法:
- 酸素欠乏危険作業特別教育:事業者が行う教育を受講。
11. その他の法令遵守と手続き
建設リサイクル法に基づく届出:
- 対象工事:延床面積80㎡以上の建築物の解体工事など。
- 手続き:工事開始の7日前までに所管行政庁へ届出。
労働安全衛生法の遵守:
- 安全衛生管理体制の構築:安全衛生責任者や作業主任者の選任。
- リスクアセスメントの実施:作業前に危険性を評価。
環境影響の抑制:
- 騒音・振動規制法の遵守:近隣住民への配慮と必要な措置。
- 大気汚染防止法の遵守:粉じんの飛散防止策の実施。